伏兵と侮るなかれ

2007/09/12(16:37)

 競馬場に滞在している馬の取材を担当するようになって久しいが、昨年から今年にかけては非常にその回数が多いような気がする。ローカル以外で開催競馬場に滞在するパターンは「外国招待馬」か「海外遠征帰りの日本馬」で、いずれも輸入検疫を必要とする馬なのだが、その頻度が高くなってきたのだろう。今年も既にコスモバルク、シャドウゲイトの2頭を宝塚記念で取材した。しかし、今日は初めて、そのどちらでもないパターンの陣営の取材で阪神競馬場へ赴いた。

 その陣営というのが美浦・浅野厩舎の4頭。もともと小倉から栗東へ移動する予定だったのが、馬インフルエンザの発生で栗東トレセンの出張馬房が隔離厩舎として使用されたために入厩することができず、阪神競馬場に滞在することになったのだとか。関西に留まることにした理由は、下級条件ながら2連勝中で勢いに乗るサプライズユー(牝3歳)のローズS挑戦だ。

 このサプライズユー、500万を勝ったばかりだが、キャリア自体は僅か5戦。デビュー戦はこれといってみどころのない11着だったが、その後、半年ほど放牧に出され、復帰してから3、2、1、1着。勢いに乗って、ローズSへ矛先を向けてきたというわけだ。ここ2走でも跨った佐藤哲三騎手が、先週、今週と阪神競馬場まで出向いて攻め馬に跨っているし、何より関西にわざわざ留まるのだから、よほどの期待があるのだろうと思い、そのあたりを担当の及川調教厩務員に尋ねてみた。普通なら当日版用のコメントとして準備しておくところなのだが、そちらには跨った佐藤哲騎手のコメントを準備してあるので、ここで紹介したいと思う。

 「重賞を勝つようないい馬に何度も跨ったことがあるけど、この馬も同じような雰囲気を持っている。デビュー戦のときは何だかのそーっとしてて、その雰囲気のまま、実戦でもいいところがなかったんだけど、そのあと放牧に出してからガラッと変わったんだ。使うごと、攻めを積むごとにどんどん良くなってくれて、今は悪いところを探す方が難しいくらい。ホントにデキがいい。馬体も前回時とそう変わっていないんだけど、大きく見せている。実が入って、充実しているんだろうね。間隔は開いているけど、以前と違って馬場に出しただけでテンションが上がっちゃうくらいだから、むしろプラスに考えている。ジョッキー(佐藤哲騎手)も先週よりも更に良くなっていると言ってくれたからね。相手は一気に強くなるけど、力を100%出し切れるようなら、恥ずかしいレースにはならないと思うよ。もし今回が駄目だったとしても、もっと良くなる馬だと思っているし、先々まで期待しているんだ」

 想像していた以上に強気なコメントが飛び出したので正直びっくりしたが、追い切りを見たあとだったので割とスンナリと受け入れられた。牝馬とは思えないくらいの馬っぷりの良さと、パワフルな脚捌き。併走していた相手がちょっと線の細い馬だったこともあって、余計に大きく映ったし、連勝中の馬らしく、デキの良さがヒシヒシと伝わってきた。なるほど、この相手でも強気なコメントが出てくるわけだ。

 冒頭に書いたとおり、これまでの滞在馬とは性質が違うので単純な比較はできないが、過去に取材した中では一番感触がいい。ここは不動ともいえる桜花賞馬や、オークス2着馬がいるだけに、馬券の相手を悩む必要はない。サプライズユーを軸にして、素直に買おうと思う。

(坂井直樹)

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