阪神ダート2000mを検証

2008/04/05(05:24)

 最初に違和感を感じたのは、ビードラスティックが勝った今年の3月2日の阪神12Rである。

 競馬ブックHP「コースのポイント」の阪神ダート2000mにはこう書かれている。

 「圧倒的に先行馬有利で、直線一気は極めて稀。4角で3、4番手にはつけておきたい。」

 書かれているも何も書いたのは私。「(阪神改装1発目の)桜花賞の週に間に合うように」ということで、データを引っ張り出して傾向を書いた。リニューアルされた開催(06年12月)では4レースしかなかったが、これがまたびっくりするほど前残りだった。その後も後方から差して連対する馬は極めて稀で、先行馬有利という自分の出した結論はほぼ合っていた。の、だが。

 その3月2日阪神12Rは3角手前あたりから一気にペースが上がった。後方10番手=最後方にいたビードラスティックが4番手まで進出してきたからだ。まあ、このレースはあくまで気づくキッカケ程度だったのだが、その後の阪神ダート2000mが大体同じようなレース内容だったことで考えが変わった。傾向が変わってきたんじゃないか、と。

 さて、気になるとジッとしていられない(机上でできることに限る)私。先週までの阪神競馬のうち、ダート2000mの全27レースについて、1ハロン毎のラップを並べて検証してみることにした。全27レースの平均を出すと、2000m1ハロン毎のラップは以下のようになる。(左がスタート、右がゴール)

 12.6―11.5―11.8―13.8―13.1―13.0―12.7―12.4―12.2―12.9

 スタートから4ハロン目(残り1400〜1200m)のラップが際立って遅いのはこの阪神2000mの特徴である。これは、スタート直後のホームストレッチで隊列がほぼ決まった後に迎える急な1〜2角の部分。ペースは落ちて当然なのだが、個人的には、この落ち着き具合が先行有利の要因の一番大きな部分だと思っていた。平均が13.8だから、14秒を上回るラップもザラにある。具体的に言えば、27レース中11レースでこの部分が14秒を上回っており、もっとも遅いレースで14.6(500万条件)、オープンでも4レース中2レースで14秒台(14.2、14.1)を見ることができる。東京ダート2100mの未勝利戦でもここまで遅いラップは見られない。

 とはいえ、これを同じ阪神のダート1800mのラップと比較するとどうだろう。07年以降の112レースの平均の1ハロン毎のラップを同様に示すと、

 12.8―11.2―13.5―13.0―13.0―12.8―12.6―12.4―13.0

 2000mで言うところのスタートから4ハロン目は、ここでいうスタート後の3ハロン目。これも遅い。やはりコース形態によるところが大きいようで、こうして比較すると、ダート2000mの4ハロン目は、わざわざ注目するほどのものではないような気がしてくる。ダート2000mの3ハロン目を抜いたラップと比べると非常に似通った数字が並ぶので、2000mのラップもそう特殊ではないと思われる。

 しかし、これで終わっては私の労力がムダになる。もう少し粘る。

 阪神ダート2000mの全27レースを、年度毎に分けて、同様に1ハロン毎のラップの平均を出してみた。

 06年 12.5―11.5―11.6―13.5―13.0―12.9―12.7―12.6―12.5―13.3
 07年 12.7―11.5―11.8―13.8―13.1―13.0―12.7―12.4―12.2―12.9
 08年 12.6―11.7―12.1―13.9―13.0―12.8―12.4―12.3―12.1―12.7
 平均 12.6―11.5―11.8―13.8―13.1―13.0―12.7―12.4―12.2―12.9

 08年の、ゴールから4ハロン目(ゴール手前800〜600mの部分)が妙に速くなっているのが分かるだろうか。過去2年分、全平均と比較して明らかに違うのはこの部分である。1800mのラップと比べても、平均で0.4秒違えば随分違うし、ここまで1ハロン余計に走ってきているだけに尚更である。ちなみにレース単位で見ると、08年の4レースはこの部分の全平均よりもすべて速い。07年最後のレースもこの部分が12.2なので、昨年末からその傾向が現れ始めていたようだ。また、スタートから3ハロン目のラップが遅いのも特徴といえる。以前よりも早い段階で隊列が決まり、早い段階からペースが上がる。ゆったり運んで、3角手前からヨーイドン、といったところだろうか。

 そうなると、さすがに先行馬有利とはいえなくなる。従来よりも1ハロンほど早い段階でペースが上がっているのだから、先行馬はスピードの持続力がかなりないとつらい。現に、リニューアル直後はスタートから4角まで通過順がすべて1や2、3あたりの馬ばかりが上位を占めていたのだが、今年は逃げた馬の連対はないし、2、3番手でそのまま流れ込み、という競馬はあえて言えば仁川Sくらいだ。とはいえ、動いて行くのは後ろの馬だから、後ろの馬もかなりの持続力がないと最後まで保たない。つまり、今の阪神ダート2000mは瞬発力よりスタミナ勝負いい脚を長く使える馬にピッタリのコース、ということがいえるのではないだろうか。

 早速、今日の最終12レースがダート2000mである。今回のメンバーでは(9)グッドフロマージュがそれに当たるのではないかと思っているが、この見極めはデータではなく私個人の見る目の問題。さて、どう出るやら。


(坂井直樹)

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